とりま、未来視してみる。

高専と大学卒業後、ベンチャー企業を3社起業・経営。と思いきや実家福岡に戻ってカフェで働くことに。

『震災から5年…夢の甲子園!』−2016/03/05田勢康弘の週間ニュース新書

多くの尊い命を奪った大震災から5年

5年経ったのに爪痕が残る被災地。釜石市など沿岸地区など。

当時震災を受けた中学生は高校を卒業した。

春の甲子園を決めた球児たちを取材したニュース新書クルー。

仙台の自宅で被災した作家の伊集院静氏と共に絆の大切さを考える。

 

まもなく5年

船が陸に上がった写真、車が流された写真。。この時期になると、震災が俳句の季語の様になっていると田勢さんは語る。

18,000人の死者・行方不明者を出した震災。

伊集院氏の新作、大人の流儀「おいかけるな」のその真意は・・?

この本を読んで思ったのは、国に対してこのことを言いたい。GDP600兆円、株価、消費者物価指数など数字ばっかりで大事なことを忘れているのではないか?と指摘する田勢さん。

伊集院氏は国税局の人がこの本を読んで「いい言葉だ」と言ったが、それは違うだろうと考えている。数字が目標になりすぎている。数字は確証を持つものだけど、東日本大震災の復興を考えるものとしては違うのではないか?

被災から5年目になる東日本大震災南三陸町の防災センターはそのまま残してある。15mちょっとの高さにある3階のアンテナを掴んだ人だけが助かった。実際は20mだった。津波の高さが15-17mだと大丈夫。と数字だけで判断するのは実感としてダメだろう。

伊集院氏は実家にいた。地鳴りが始まり、土地が揺れる。2階の煙突レンガが崩れた。お年寄りたくさん住んでいるエリアで、揺れている最中は悲鳴や声が通りにくい。

 

5年経っての復興のスピードは?

寸断されたレールにバスを走らすことが始まった。しかし、まばらになった土地・建物に人が戻るだろうか?

地元の人は、何のために復興をやっているのか?と思ってしまう。と伊集院氏は感じている。

田勢さんも「国がすることは復旧までで、復興は地元の努力というのが国のスタンス。あの地域の人達があそこでどう生きるかはまだ定まっていない。」と同意する。

復興の取材を岩手県釜石市で行った。同市は888人が死亡者、152人の行方不明者が出た。

 

釜石高校の野球部員は毎年卒業式の車の誘導を行う。卒業式では生徒全員で黙祷を捧げる。家族を失った生徒も多い。工場の壁には「がんばろう釜石」の文字が。釜石高校が20年ぶり甲子園出場を果たす明るい話題が届いた。

繁田アナウンサーが高校球児を取材。甲子園への思いは?との問いに、「震災を経験したメンバー全員。地元の期待を感じている。24人の内9人が自宅を失った。」と話すキャッチャーでキャプテンの菊池くん。

全国の人からの支援があった。選抜に選ばれたので恩返しをしたいと語る。 

 

全員が被災をしていること。伊集院氏は彼らは被災世代と言われるようになるだろう。これは強いことだと思う。苦しいことを経験しないと人は伸びないと思う。辛いことだけど大概の人の倍のことができるようになる。政治家も経験してなってほしい。もちろん教育も必要だけどと話す。

 

哀しみから学ぶモノ

哀しみの時間と哀しまなくならざる得ないもの。哀しいという状況は全部違う。豊かさへ向かっていく事を描くのが大人の仕事。

 

哀しみから立ち上がるには?

著書「大人の流儀」の一節に「あなたはまだ若いから知らないでしょうが、哀しみにも終わりがあるのよ」がある。薬漬けになった人に老婆が言った言葉である。これは、哀しみの中に入った人しか言えない言葉。

 

言葉の力で人にどんな事が出来るか?

言葉には限界がある。1万8000人の犠牲者は何も話せない。北の人が持つ特殊性で声高に話せないのもある。伊集院氏は2つの方法を提案する。1つ目は何が起こったかの検証をどこの世代まで残せるか?2つ目は進もうとする事にお金は後押しにならない。声をかけるとか荷車を一緒に引いてくれる人、ボランティアが必要と提案した。

 

大人はどう生きるべきか?

伊集院さんの大ベストセラーは、追いかけるな・許す力・大人の流儀(これは130万部)がある。どこかに救いがあるので読者を引き付けるのではないか?

父母の影響が大きいという。在日韓国人2世の伊集院氏の両親は海をわたってきた。子どもたちに品性を出来るようにと教育された。日本語は日本人より綺麗に書けるように母から厳しく指導された。

女は寿司屋のカウンターに座るなとも言われる。視聴者に怒られるかもしれないけれども。字がみんな下手なことも気になるという。特にお葬式の記帳。少し練習すれば変わるものなのにしない。

また、漢字を知らない。歯舞(はぼまい)なんて最たる例。島国の人の気持を感じ取れない政治家。

大人の品性とは、人生の何分の一でも誰かのために自分の事だけでなく何かをすること。企業も。自分のことだけをやっていては潰れる。

 

伊集院氏が新聞広告で贈った新入社員への言葉

新社会人おめでとう。

今日、君はどんな職場に立ったのだろうか。

どんな仕事であれ、そこが君の出発点だ。

すぐに目を瞠るような仕事をしなくていい。

本物の仕事はそんな簡単なものではない。

すぐに役立つものはすぐに役に立たなくなる。

失敗をおそれるな。笑われても、誹られても、挑め。

困難に立ちむかう人間の生き方の中には真理がある。

己のためだけに生きるな。仕事は誰かのためにやるものなのだ。

それが仕事の品性だ。生きる品格だ。

 

自分は作家になりたいんだけど、どうやったら伊集院静の様になれるか?と若い人は聞いてくる。若いうちは辛いことをしている意味がわからない。

振られたことがない。頭を下げてお付き合いをお願いしたが振られた。もてないという経験。

見栄えがいい男と上手いことを話す男はだめ。アナウンス部なんてのはだめ。話が下手な人でも、文章を書かせると鋭いことがある。昔は寡黙な方が男っぽいと言われた。

 

最新のニュースを報道フロアから

  • 全人代が今日北京でスタート 今年の成長目標は6.5-7%とすると発表。去年は25年ぶりの低水準で6.9%だったが、それを下回る政策目標になる。生産能力の新規拡大を厳しく抑える方針も。また、国有企業について一部を撤退させる事を明言した。
  • 政府が沖縄と辺野古で協議の意向に米国カーニー報道官は日本政府と協議したいと声明を出した。

 

今日のあとがき

種田山頭火の句

  • 落ち葉しいて 寝るよりほかなく 山のうつくしさ
  • 産んだまま 死んでいるかよ かまきりよ
  • 雨ふる ふるさとは はだしであるく

山頭火は山梨県防府伊集院静氏の故郷でもある。

俳句いいものですねと振る田勢さんに、山頭火は好きではないが正岡子規を勉強していた。尾崎放哉のほうが好きと伊集院氏は応じた。

 

筆者自身の震災体験

ニュース新書で震災の特集が組まれて、再びあの時の事を思い出した。

筆者は当時大学4年生だった。卒論が終わり神奈川県川崎市の市議会選挙事務所を手伝っていたが、春休みをもらって実家の福岡に帰省していた。

その時Twitterで震災を知った。すぐにテレビをつけたらヘリコプターからライブ中継される津波に人々や車が飲み込まれていく様子が流れていた。目を疑った。これは本当に日本で起こっていることなのかと。

筑波大学に在学していた頃、つくば市議会議員や市の職員の方々とお付き合いがあったことから、すぐに震災ボランティアチームを結成することになった。

東日本大震災といえば東北なイメージがあるが、つくば市でも甚大な被害が出ていた。震度6弱に死者1名、負傷者13名うち重傷者3名。道路・インフラの崩壊、ライフラインの停止、建物倒壊4,000件近く発生していた。また、福島県からの被災者の受け入れも行われた。体育館などに避難していただいたのだ。

幸い自分が福岡にいたこともあり、関東はネットや通信が非常に混乱していたので安定している福岡にいる自分がボランティアメンバーの名簿作成や連絡網の構築に携わったのだ。

その後、一度選挙事務所に戻りつつTwitterで医療関係者と被災者をつなぐサービスを立ち上げたりしながら、1週間後につくば市に入った。

現場は大変混乱していた状況であったのを覚えている。到着当日は、市役所で夜通し翌日以降のボランティアスタッフのスケジュールを作成。一日に数回来る余震は震度5くらい。いくら耐震された庁舎だとしても恐怖だった。

市の職員の方々も総動員だったのだが、ボランティアの運営まで充分に手が回っていなかったという事情があったことを断っておく。

特に福島からの被災者の受け入れ対応はカオスだった。被爆のチェックを行うのかどうか?またその体制は?など1日に4−5回は方針が変更されていたように思う。市の中でも情報統制・指揮系統が一時期定まっておらず、みんなが必死に手探りをして、何が出来るかを考えながら最善の行動を取っていた。

こんなに人との絆を感じたことはなかった。

筆者は誰かを震災で失ったわけでもなく、大きな被害があったわけではない(お皿とかいっぱい割れたり、家の中がグチャグチャになって片付けが大変だったけど)

こんな経験もう二度としたくはないが、忘れてはいけない大事な記憶だと思うのだ。風化させずに、ただ数字だけで議論をするのではなく、言葉に重さを持たせて次のいつ起こるか分からない脅威に備えて行かなければならないと思うのだ。

ぜひみなさんにも5年たった今だからこそ思い出すことを整理して、記してほしいと心から願う。それが未来のためになると思うから。

今日はこの辺でー。

 

  

 

先週の田勢康弘週刊ニュース新書はこちらー

 

miraishi.hatenablog.com