とりま、未来視してみる。

高専と大学卒業後、ベンチャー企業を3社起業・経営。と思いきや実家福岡に戻ってカフェで働くことに。

マイナス金利について自分の頭で考えてみる。

1月29日に日銀がマイナス金利導入を決めて1ヶ月になる

マイナス金利の影響で住宅ローン金利が低下したり、普通預金の金利が低下したり実際の生活にも反映され始めている。それと同時に、銀行システムや日本の金融システムそのものについて見直される機会になっているのではないかと感じる。

そもそもなぜ日銀当座預金に金利がつくんだ

マイナス金利になったのは、銀行(MUFGSMBCなど)が日銀に預けている日銀当座預金に対して金利をマイナスにするというもので、なぜか当座預金なのに各銀行は日銀に預けると1%の金利がつくようになっていたのである。これは白川前日銀総裁の時に導入されたものだ。銀行にしてみれば、ノーリスクで1%の金利を得ることができてたのである。それがマイナスになってしまったので追加で預けることができず、その金をどこかで運用しなければならない状況に陥った。

 

銀行に資金が集まる3つの理由

では、なぜ銀行には日銀当座預金に預ける程の資金が集まってしまったのだろうか?銀行には①預金者の預け入れ②各種手数料③国債の買いオペ資金が集まってくる。

③の国債の買いオペを説明すると、財務省が発行する日本国債を銀行は買い付ける。直近だと10年もの国債で年0.3%の利回りが見込める。超低金利であるものの、国債は国の補償を受けているので安定的な資産であるため買われるのだ。そして日銀はマネタリーベース(世の中に出回る日本銀行券の総量みたいなもの)の増加を政策手段に掲げているため、銀行から国債を買い入れる。そのかわりに日銀から日本銀行券を得るのだ。

銀行にしてみれば、

  1. 資金を預金者から集める
  2. 国債財務省から購入する
  3. 運用するか日銀の買いオペをする
  4. 運用益を得るもしくは買いオペで日本銀行券を得る

という状態に置かれる。

 

日銀って国債を買入していいんだっけ

つまり、日銀は国債の直接買い入れはしていないもののマーケットを通じて買い入れはしているのである。また買い入れた国債が満期に至った場合は借換債と言う形で引き受けている。

本来は財政法5条で、原則として日本銀行が直接日本国債を購入することを禁止している。

その理由は、紙幣を発行する日銀が簡単に国の借金である国債を購入して資金を提供してしまうと、国家は無秩序に財政出動をしてしまう恐れがあり、実際にそれを行うと紙幣の価値が危ぶまれ激しいインフレにさらされると言うものだ。

マイナス金利の話からだいぶ脱線してきなので、話を戻そう。

マイナス金利以前、だぶついていた資金は日銀当座預金という楽な資金運用手段を銀行に提供していた。また、日銀が大量に買いオペを行ったおかげで銀行には大量の日本銀行券がある事を説明した。

 

日銀の思惑とマーケットの反応の1ヶ月

日銀の思惑としては、マイナス金利を導入することで日銀当座預金高を抑制し、銀行に溜まった日本銀行券をしっかり企業に融資したり、個人に融資することで経済を活性化するとともに、買いオペを継続することでマネタリーベースを増やし目標インフレ率2%を目指すところにあった。

しかし、導入決定1ヶ月を見たところ日銀の思惑通りにことは運んでいないのかもしれない。マーケットの反応は、買いオペの限界によるマネタリーベースの増加ではインフレ目標を達成できないのではないか?と言う反応や、銀行の資金も日銀当座預金以外に投下出来るところがなく結局は国債を購入し長期国債の利回りがマイナスになるといった金融システムが不安定に陥っている。

本来ならば、企業や個人の経済活動が活発になることで資金需要が生まれ銀行融資が発生する。そして必要な資金が日銀から銀行に貸し付けられる(銀行の銀行)。このようなボトムアップ的な考え方ではなくトップダウン資金をガンガン投下してもダメだったということだろうか?もしくは、トップダウン市中銀行までは落ちていった金を企業や個人まで落としこむためのマイナス金利で、トップダウンの途中なのだろうか?

 

さあこれからどうなる。

明日3月1日に決定される平成28年度予算案国債の発行額は▲2.4兆円の34.4兆円となっている。財政は緊縮的に推移させようとしているが、金融部門でのハンドリングの余地はだいぶ減ってきているし、先日行われたG20でも円安誘導に釘を刺された日本としては円安株高に介入で持って行きづらい状況下におかれている。

そんな中GDP600兆円を打ち出している安倍政権としては、打てる手としては大型の補正予算+消費税増税延期だろうか?労働市場では、人出が足りない状況に苛まれている。正社員を雇用せず、流動的にしたためになかなか人が働き続けてくれなくなっているという。いかに成長産業や基幹産業に国民を労働参加をさせるかも重要な課題だ。

このまま円安介入を行わなければ、量的質的緩和を始めたアベノミクス以前に近い水準まで円高株安は進行していくだろう。そして、株安は企業に追加投資さらに萎縮させるに違いない。

そうならないためにも、今こそ政府は有効的に補正予算を組むべくではないだろうか?正に異次元の国債による資金調達のし易い環境下におかれているのであるから。

今日はこの辺でー。