アメリカ大統領選“異変”の深層-2016/02/27マネーの羅針盤
大統領選挙が山場へ
3月1日はスーパー・チューズデー。
その日に多くの州で同時に、予備選挙・党員集会が開催される。
共和党
トランプ氏は毒舌で失速すると思われていたが・・
「評論家は私を評価してなかったが、勝って勝って勝ちまくっている」
共和党の議員の中でも支持する人が出てきており、大統領候補となる可能性も。
民主党
バーニー・サンダース氏は1勝2敗。
反ウォール街の自称社会主義者が、独走すると思われていたヒラリー氏と肉薄している。
トランプ、サンダースの両氏は経済政策が人気のポイント。
アウトサイダーが大統領になる可能性は?
危険な経済政策日本への影響は?
アメリカ選挙は今まで考えられなかったことが起こっている。
ニューヨークの田中さん
ニューヨークダウは今週247ドルの上昇。原油先物相場に引っ張られる。
アメリカの10−12月GDP改定値は市場の予測より良かった。年率1%増で速報値より0.3上昇。しかし、速報値より在庫投資が増えたことが要因。つまり企業の在庫解消が遅れていることを指し、1−3月期の新規受注が抑制されるとの観測から、アトランタ連銀は1−3月期GDPの予想を下方修正した。
FRBの利上げは?
1月の個人消費支出が0.5%の上昇(市場予想を上回る)。個人消費支出指数も1.7%の上昇とFRBの目標の2%に近づいてきた。景気は厳しくなりつつも利上げの状況は整って来ているので、FRBは利上げ判断の難しい局面に立たされている。
アメリカ人の肥満は昨年全体で2億6400万キログラム(クジラ1,400頭分)体重が増えたという。肥満関連の医療支出は1年間で120億ドル。どうやって抑制をするのかが課題になっているという。
世界のマーケット振り返り
NYダウ:16,639.97 1.5%上昇
日経平均:16,188.41 1.4%上昇
FTSE:6,096.01 2.4%上昇
上海総合:2,767.21 3.2%下落
日経平均16,000円台は3週間ぶり。
ドル:113.99円 1.3%円安
ユーロ:124.60円 0.6%円高
ポンド:157.93円 2.4%円高
豪ドル:81.22円 0.9%円安
EU離脱をめぐる先行き不安からポンドが弱まった。
米GDP速報値の上方修正からドルが買われたため、円安に。
NY原油:32.78 10.6%上昇
NY金:1,220.40 0.8%下落
東京金:4,440 0.3%上昇
シカゴコーン:359.50 1.6%下落
アメリカ大統領選“異変”の深層
ゲストはみずほ総合研究所の安井明彦氏。
来週火曜日にスーパー・チューズデー。
ここまでの大統領選をまとめる。
共和党は、
ブッシュ氏の撤退後、三つ巴の戦いを演じる。
トップは毒舌の大富豪トランプ氏が白人中間所得層の支持を得る。
2位のクルーズは強硬保守派、3位のルビオはヒスパニック系の若手の星。
2位に12%の差をつけているトランプ。クルーズ、ルビオの2人は勢いを止められるか?
民主党は、
初の女性大統領を目指すヒラリー氏の支持層は黒人マイノリティと富裕層。
反ウォール街で自称社会主義者のサンダース氏は白人若年層の支持を受ける。その理由は、国民皆保険と大学無償化。
私は実現できないことは約束しないと応戦するヒラリー氏。
しかし、サンダース氏の追い上げで差は僅か3ポイント。
スーパー・チューズデーは3日後
これだけアウトサイダーが躍進したアメリカ大統領選はない。
経済政策の敗北が理由と語る安井氏。
これだけやってきても、暮らしが良くなってこなかった。白人中間所得層とそれ以下の人達が不満を持っている。
家計の実質中位所得が2000年頃をピークに上がっていないことが問題。
共和党と民主党の主流派がやってきた経済政策。これらをやってもダメだったので違うことを期待しているのがアウトサイダー躍進の理由と語る。
共和党・民主党とトランプ氏とサンダース氏の方向性
共和党 | トランプ | サンダース | 民主党 | |
---|---|---|---|---|
税金 | 減税 | 減税&富裕層増税 | 富裕層増税 | 富裕層増税 |
社会保障 | 削減 | 維持 | 拡充 | 充実 |
貿易 | 自由 | 保護 | 保護 | 保護 |
支持者はトランプ、サンダース両者同じく、社会保障を政府に守ってもらいたい・貿易を閉じてもらいたいという思いがあり、その支持層の台頭と政策がマッチしている。
もし今の2人が言っている政策が出来なかった場合、もっと過激な人が出て来るだろうと安井氏は予測する。
選挙だけを見るとヒラリーが優勢でマイノリティーからの支持がある。
しかし、ヒラリーを好きな人が少ない、信用出来ない、または本選挙で共和党に勝てないという人が共和党には多い。
3連勝のトランプが共和党の候補者になる可能性がある中で、経済への影響はどうだろう?型破りな候補者が立つと、来年のアメリカ経済政策に不透明感を感じ、経営者は投資を控える可能性がある。
非主流派型経済政策
TPPを推し進めていたアメリカに逆風が吹いている。候補者にTPPを支持する候補がいない。
日本も、ものさしを変える必要があるかも知れない。
ヨーロッパでも日本でも、閉じていく政策になっていくかもしれないと予想される。
来週の予定
29日(月) 日 1月鉱工業生産
1日(火) 米 スーパー・チューズデー 中 2月製造業PMI
2日(水) 米 地区連銀経済報告
4日(金) 米 2月雇用統計
5日(土) 中 全人代開幕
米大統領選の今後に注目
アメリカの経済格差、不満不安が分かった。大統領選挙にはお金がかかる。たくさんお金がある人ではないと勝ち抜けない。クリントンは200億円位調達。トランプは自分自身で10−12月に12億円を準備している。
人気とお金どちらも必要なのが、アメリカ大統領選挙なのである。
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